シンプルなパッケージの中には、プリンター本体の他に色々なものが入っているが、中でも目立つのが、「BERG Cloud Bridge」というBOXである。
c 2013 BERG Cloud Limited
このBridgeは、Little Printer本体とBERGのクラウドサーバーとの間のM2M接続を確立するための装置なのである。ルーターとLANケーブルで繋ぐことにより、httpsプロトコルを用いたBERGクラウドサーバーとBridgeとの間のデータ通信が可能となる。なおBridgeとLittle Printerとの間はセキュアな無線接続なのでケーブルは必要ない。
Little PrinterとスマートフォンやPCとは、Bluetooth>などを用いた直接的なデータ通信は一切必要としない(というかできない)。例えばスマートフォンで撮影した写真をプリントするには、そのデータを(恐らくはイギリスかアメリカにあるであろう)BERG Cloudサーバーにブラウザ経由でアップロードする必要がある。そこでモノクロ画像にレンダリングされたデータが、このBridgeを介してプリンターに送信され印刷されるという仕組みになっているのだ。
言葉で書くとややこしいので、BERG社のサイトに掲載されているフローチャートを以下に示す。
c 2013 BERG Cloud Limited
なぜこんな複雑ことになっているのかについては、次回以降詳述するが、要するにこの製品は、通常の意味でのモバイルプリンターではないのだ。この点について理解していないと、大枚をはたいて入手したは良いが、失望させられることになる。
ただし、仕組みが複雑だからといってセットアップが難しいわけではない。実際、必要な作業は、Little PrinterのACアダプタをコンセントに挿入した後、BridgeのBOXに電源アダプタと、ルーターへのLANケーブルとを接続し、約60秒ほどしてM2M接続が確立するのを待ってから、プリンター上部のボタンを押して認証コードを感熱紙に出力させるだけだ。IPアドレスの設定だの、ポートの設定だのは、原則として全く必要ないので、ネットワークの知識がなくても、インターネット接続用のルーターが機能していてWeb閲覧が可能なら何の問題もなく設定作業を終えることができる。
ハードウェア側の設定が終わったら、BERGのサイトでサインアップして、上記の認証用コードを入力すると、ユーザーIDとプリンター(正確にはBridgeだろう)とが紐付けられて様々なクラウドサービスを利用できるようになる。
なお同社のクラウドサービスで提供されているイメージ添付メールの作成画面は以下のとおりだ。メッセージを送信すると、BERGサーバーからBridge経由で宛先のLittle PrinterにPush配信され、感熱紙が排出される。
宛先は、メールアドレスではなく、あくまでプリンタであることに注意。最終出力物は、メッセージが印刷された感熱紙なのである。このあたりのアナログ感が、いかにもイギリス的と言うべきか。
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