ストックしてあったPolaroidの"Fade to black"を久しぶりに使ってみた。このフィルムは、TZ Artisticの特殊バージョンで、撮影後、約24時間かけて画像が黒く沈んで行くという代物だ。撮影直後は、通常のTZ Artisticと同様の、ややコッテリとした発色なのだが、約3?4時間を経過すると、上記のような暗く沈んだ色調となる。
約12時間経過すると、上記のような「黒い絵」となる。まだ、写っているものの形状や色彩が何とか識別できる。
24時間後には、上記のように目を凝らさなくては何が写っているのか判然としない。さらに時間が経過すると、画面全体がほぼ黒一色となる。
この、一日の間の色調の変化を楽しむのが、このフィルムの持ち味なのだが、こうした面白さが理解できるのほ、ごく一部のマニアだけだろう。色調の変化を途中で止めるには、フィルムを剥がして乾燥させるなどのテクニックがあるようだが、個人的には、一日後には真っ黒くなってしまうという無常観というのが気に入っている。
以下に数枚の作例を示す。いずれも撮影後3?4時間後にスキャンしたものだ。
秋晴れの日射しを浴びたドアの赤いフレームがかろうじて認識できる。
秋晴れの青空もこの通り。古びたテンペラ画のようだ。
真昼の風景も、まるで夜のようだ。黄色みがかった不思議な描写になる。
なお、24時間経過して真っ黒くなってしまったフィルムを、太陽光に長時間晒すと、元の画像がうっすらと浮かび上がるという報告もある。時間がかかりそうだが、試してみる価値がありそうだ。
Fade to blackというフィルムの存在は知っていたものの、
作例ははじめて拝見しました。ありがとうございます。
これはすごいフィルムですね…、諸行無常の世界観(笑)
昔、駄菓子屋さんに「日光写真」なるものがありましたが、
あれもアニメのキャラ画なんかが徐々に消えて無くなり、
子供心に少し悲しかったのを覚えています…。
こうやって時間差でスキャンして残せば、
その変化の過程を楽しめますし、新しい写真の表現方法ですね(^^)
とても勉強になりましたぁ!