今年の連休は、あれこれと忙しく瞬く間に過ぎ去ってしまった。最終日の今日になって、自室の片付けをしていたら、2004年のゴールデンウィークに撮影したポラロイド写真が出てきた。
7年前の4/29は、快晴の木曜日だった。午後になってから、Polaroid ProCamにSpectraフィルムを装填して、五反田から大崎に向かう運河沿いを歩いた。当時は、町工場や倉庫が建ち並ぶ寂れた街区だったが、休日の人気のない街並みが何とも言えない白日夢めいた雰囲気を醸し出していた。
撮影散歩を終えて、五反田駅近くまで戻った時に撮影したのが、上記のショットだ。倉庫とおぼしき緑色の外壁のビルに、筋向かいのガラス張りのオフィスビルに反射した夕日が奇妙な模様を投影していた。
このようなのを偶然の遭遇とでも言うのだろうか。建物の位置関係と、夕日の射す時間帯の相乗効果で、思わぬショットを撮影することができた。光の波が暗緑色の外壁に反射して幻想的な景色となっている。
10枚入りのパックの最後の一枚で何を撮影しようかと思っていた時に、この被写体に出会ったのは、幸運というか、何かの必然だったのかもしれない。今に至るまで、このワンショットは、私の最もお気に入りの一枚になっている。
過日、五反田に行った際に、この建物を探したが、既に撤去されており、跡地は駐車場になっていた。現在の五反田から大崎にかけては、再開発の結果、高層マンションが林立している。あの日の、人気のない白日夢のような景色は、もう無くなってしまった。
当時の「思ひ出」の写真を二枚ほど掲載しておく。
大崎寄りの運河に面した物流倉庫の搬送施設。不思議な形をしている。トラックに上層階の荷物を積み込むために利用されていたようだ。この倉庫も撤去されて、今は高層マンションになっている。
古いコンクリート造の建物のファサード。真っ青な空が嘘のようだ。この建物も現存しないようだ。
これらの写真を見ていて改めて驚くのは、当時のポラロイドフィルムの描写性と保存性の良さだ。特別な環境に置いておいた訳でもなく、猛暑の夏を何度も経過してもなお、このような良好な状態を保っている。復刻されたPX680が、こうした性能を獲得する日が来ることを期待したい。
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