Polaroid Big Shot

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ポラロイド・カメラ展を見に行ったらPolaroid Big Shotが展示されていた。たまにはピールアパート・フィルムも面白そうだと思い、自宅にあるカメラを取り出した。

bs2.jpgポラロイド社製の数あるカメラの中でも、これは特異な製品だ。パックフィルム対応のカメラとしては珍しくフルメカニカルで、電池を必要としない。この異形な風貌にも独特の味わいがある。

しかも、ポートレート専用に設計されているため、合焦距離は1.2mに固定されている。絞りもシャッター速度も固定で、Magicubeというフラッシュキューブを焚いて撮影をすることが前提となっている。


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レンジファインダーを備えているが、これは被写体との距離が約1.2mの時に、二重像が合致するという代物で、これ以外の距離合わせには使えない。要するに絞り、シャッタースピード、合焦距離が総て固定されているのだ。この割り切りが潔い。アンディ・ウォーホールが愛用したのも、こうした単機能のミニマリズムが気に入っていたのかもしれない。因みに、背面の円形の部分は、フィルムの現像時間を計測するためのゼンマイ式の60秒のタイマーである。


bs5.jpgところで、SX-70等で用いるモノシートフィルムは、製造・販売が終了して久しく、最近になってIP から互換性のあるPXシリーズが発売になったのだが、ピールアパート式のパックフィルムについては、Fujiから互換性のあるフィルムが現行製品として販売されている。しかもカラーとモノクロの両方が揃っており、ヨドバシなどの大規模量販店で容易に入手可能だ。

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しかし、フィルムは良いのだが、撮影に必須のMagicubeの方は、とっくの昔にディスコンとなっており、今となっては流通在庫しか残っていない。しかも、製造が終了して十年以上にもなるため劣化が進んでおり、シャッターを切っても発光しない「不発弾」が多い。一個のキューブで4枚の撮影が可能だが、不発弾率は50%近かった。

皮肉なことに、フィルムは現行製品が供給されているのだが、フラッシュバルブが払底しつつあるのだ。この問題を解消するには、ストロボを同調させれば良いのだが、このMagicubeというのは、一切電気に頼らない機械式の発光メカニズムを採用しているので、通常のシンクロアダプターは使えない。この問題については、別途解決策について投稿する予定だ。

さて、肝心の撮影結果だが、肖像権の問題もありポートレートを掲載する訳には行かないので、柱時計を撮ってみた。

bs20101103.jpgbs20101112.jpg何の変哲もない写真だが、描写はなかなか良い。とても40年近く前に製造された、プラスチックの単玉レンズのカメラとは思えない。畏るべしメカニカルカメラというところだ。

コメント(2)

アンディ・ウォーホル愛用って事でその存在は知っていましたが、
Big Shotって実際こんな写りをするんですねぇ。
初めてみました~。作例のアップありがとうございます!

ホントに特異な製品ですね?
このインパクト大の鼻長(?)首長(?)デザインもそうですが、
「ポートレート専用」っていうコンセプトもまたスゴイ…(笑)

天気の良い屋外でもMagicubeは必要ですか?
手に入る機会があれば一度は使ってみたいカメラですが、
このキューブが必須となるとちょっと躊躇してしまいますね…(悩)

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