少し前に、「LOMO LC-A INSTANT BACK+」について投稿したが、どうした訳か、このページへのアクセスが思いのほか多かった。
このような「トイ・インスタント・カメラ」に興味を持つ方がいるとは、少々驚きだ。何しろ、レンズは旧ソビエト時代に設計された Minitar-1 32mm f2.8 という周辺光量落ちの激しいクセ玉、ボディは、COSINA CX-2 のソビエト製コピーを、さらに中国でコピー生産しているという著作権もへったくれもない代物。これに無理やりインスタントバックを取り付けてFuji Instax mini フィルムで撮影してしまうという目眩のしそうな構想の製品だからだ。
入手後早々のゴールデンウィーク中に撮影したのだが、全く思った通りには写らないというのが第一印象だった。
今日は、久々の快晴の休日だったので、果たしてこのカメラとフィルムの実力がどの程度のものであるのかを検証してみることにした。
先日の撮影でわかったのは、露出の設定が難しいということだ。マニュアルによれば、フィルム感度を標準はISO 200、明るめに補正する場合は100、暗めでは400 に設定するようにとのことだ。LC-A+は、プログラムAEなので、露出補正は、フィルム感度設定で行うしかないのである。しかし、この記述は、日本の初夏では全く役に立たない。400に設定しても、オーバー気味になってしまうのだ。
そこで、さらに補正してISO 800で撮影したのが以下のショットである。
いくぶんかマシになったとはいえ、まだオーバー気味だ。そこで、LC-A+のISO設定の最高値である1600に設定して撮影すると以下のようになった。
直射日光を受けている被写体の場合も、かなりの補正が必要だ。
このような「トイ・インスタント・カメラ」に興味を持つ方がいるとは、少々驚きだ。何しろ、レンズは旧ソビエト時代に設計された Minitar-1 32mm f2.8 という周辺光量落ちの激しいクセ玉、ボディは、COSINA CX-2 のソビエト製コピーを、さらに中国でコピー生産しているという著作権もへったくれもない代物。これに無理やりインスタントバックを取り付けてFuji Instax mini フィルムで撮影してしまうという目眩のしそうな構想の製品だからだ。
入手後早々のゴールデンウィーク中に撮影したのだが、全く思った通りには写らないというのが第一印象だった。
今日は、久々の快晴の休日だったので、果たしてこのカメラとフィルムの実力がどの程度のものであるのかを検証してみることにした。
先日の撮影でわかったのは、露出の設定が難しいということだ。マニュアルによれば、フィルム感度を標準はISO 200、明るめに補正する場合は100、暗めでは400 に設定するようにとのことだ。LC-A+は、プログラムAEなので、露出補正は、フィルム感度設定で行うしかないのである。しかし、この記述は、日本の初夏では全く役に立たない。400に設定しても、オーバー気味になってしまうのだ。
そこで、さらに補正してISO 800で撮影したのが以下のショットである。
いくぶんかマシになったとはいえ、まだオーバー気味だ。そこで、LC-A+のISO設定の最高値である1600に設定して撮影すると以下のようになった。
これでも少しオーバー気味ではあるが、快晴の空の青がそこそこ描写されている。まあ、許容範囲内といったところか。個人的には、ISO 3200 くらいまで補正するとちょうど良くなるのではないかと思っている。(NDフィルターを使えば実現可能だ)
直射日光を受けている被写体の場合も、かなりの補正が必要だ。
吉祥寺の裏道の、とある店の看板を、ISO 800 に補正して撮影してみた。初夏の強烈な日射しの感じは出ていると思うが、もう一段絞っても良かったかもしれない。
それでは、日陰の被写体はどうかというと、
上記のような具合だ。と言っても、何が写っているのか分からないと思うので、一応説明をしておく。ガレージショップのような店のショーウィンドウである。店は閉まっていたので、中の商品が暗く見えている。ガラスの表面には外の風景が映り込んで、あたかも多重露出を行ったかのようだ。これは、ISO 400 の標準設定で、ほぼ狙った通りの結果となった。
明暗の差が少なく、全体が白っぽい日陰の被写体の場合には、もう一段開けて ISO 200 がちょうど良いようだ。
だが、同じ白っぽい被写体でも直接、日光を浴びている場合には、ISO 1600 が適切な値だ。なんとか石目のディテールも描写されている。
日陰でも、間接光が回り込み、被写体が明るい場合には、ISO 400 ぐらいが適切だ。
なお、上記の例で、被写体の中心がやや右にズレているのは、ファインダーの視差による。インスタントバックを用いる場合、カメラ本体のホットシューに取り付けたプレートを介して専用のビューファインダーを装着するが、このプレートというのが実に頼りない代物で、剛性が全くない薄いプラスチックの板なのだ。
そのため、普通のカメラの撮影作法通り、額をしっかりとファインダーに押し付けるとプレートがズレて視差が生じてしまう。このあたりは、いかにもトイカメの風情だ。まあ、レンズのイメージサークルがフィルムサイズをカバーしていないので、厳密なフレーミングなど期待できないのではあるが。
さて、全体として絞る方向に補正した方が、好ましい結果が得られるということが判明したが、逆に言えば、暗い被写体にはそれなりに強いということにもなる。試しに地下にある喫茶店に通じる階段を見下ろして撮影をしてみた。開店前なので、肉眼では暗くてディテールは見え難い。LC-A+ の感度設定の下限値である、ISO 100 にセットして撮影してみた。
結果はご覧の通り。暗くて良く見えなかった内壁のレンガが、それなりに写っていた。ピントが甘いのは、手ぶれのせいだろう。シャッター速度は、1/10秒程度であった。
という訳で、屋外では絞り気味の補正をすることにより良好な結果が得られるというのが今日の結論だ。このちょっとしたコツをつかんでしまうと、小さなサイズながら、おチープで面白い写真が取れる。
チェキ用のフィルムを使うことを馬鹿にする向きもあろうが、なにしろコストが嵩まないのが良い。本格的にポラロイドで撮影すると、一枚あたり約300円とお高いが、こちらは画面は小さいながら、70円程度だ。
また、再販されたポラロイドフィルムのように現像時の温度管理にナーバスになる必要もないので、気楽に撮影を楽しめる。ほとんど電気代しかかからないデジカメと比較すれば、70円といえども論外かもしれないが、この世に一枚しかない写真を、その場で手にすることができるというインスタント写真の楽しさは、しっかりと体験できる。これは、実にかけがえのないことだと思うのだが。
ISO 1600 で撮影。ファインダーの視差が出て、コーンの上端が切れてしまった。近接撮影の時には、特に要注意だ。因みに、この専用ビューファインダーの視野は、あまり当てにならない。見えている範囲よりもかなり外側まで写るようである。
薄暗く狭い路地に日が射しているのを ISO 200 の設定で撮影。多重露出機能を用い、撮影位置を変えて二回シャッターを切っている。なんとなく夢の中のような描写となった。
なお、今回の露出補正は、あくまで私自身のLC-A+での撮影結果に基づくものだ。前述の通り、日本製品と異なり、品質のバラつきが大きい海外製品なので、カメラ側のAEの設定も個体ごとに異なる可能性があることをお断りしておく。
それでは、日陰の被写体はどうかというと、
上記のような具合だ。と言っても、何が写っているのか分からないと思うので、一応説明をしておく。ガレージショップのような店のショーウィンドウである。店は閉まっていたので、中の商品が暗く見えている。ガラスの表面には外の風景が映り込んで、あたかも多重露出を行ったかのようだ。これは、ISO 400 の標準設定で、ほぼ狙った通りの結果となった。
明暗の差が少なく、全体が白っぽい日陰の被写体の場合には、もう一段開けて ISO 200 がちょうど良いようだ。
だが、同じ白っぽい被写体でも直接、日光を浴びている場合には、ISO 1600 が適切な値だ。なんとか石目のディテールも描写されている。
日陰でも、間接光が回り込み、被写体が明るい場合には、ISO 400 ぐらいが適切だ。
なお、上記の例で、被写体の中心がやや右にズレているのは、ファインダーの視差による。インスタントバックを用いる場合、カメラ本体のホットシューに取り付けたプレートを介して専用のビューファインダーを装着するが、このプレートというのが実に頼りない代物で、剛性が全くない薄いプラスチックの板なのだ。
そのため、普通のカメラの撮影作法通り、額をしっかりとファインダーに押し付けるとプレートがズレて視差が生じてしまう。このあたりは、いかにもトイカメの風情だ。まあ、レンズのイメージサークルがフィルムサイズをカバーしていないので、厳密なフレーミングなど期待できないのではあるが。
さて、全体として絞る方向に補正した方が、好ましい結果が得られるということが判明したが、逆に言えば、暗い被写体にはそれなりに強いということにもなる。試しに地下にある喫茶店に通じる階段を見下ろして撮影をしてみた。開店前なので、肉眼では暗くてディテールは見え難い。LC-A+ の感度設定の下限値である、ISO 100 にセットして撮影してみた。
結果はご覧の通り。暗くて良く見えなかった内壁のレンガが、それなりに写っていた。ピントが甘いのは、手ぶれのせいだろう。シャッター速度は、1/10秒程度であった。
という訳で、屋外では絞り気味の補正をすることにより良好な結果が得られるというのが今日の結論だ。このちょっとしたコツをつかんでしまうと、小さなサイズながら、おチープで面白い写真が取れる。
チェキ用のフィルムを使うことを馬鹿にする向きもあろうが、なにしろコストが嵩まないのが良い。本格的にポラロイドで撮影すると、一枚あたり約300円とお高いが、こちらは画面は小さいながら、70円程度だ。
また、再販されたポラロイドフィルムのように現像時の温度管理にナーバスになる必要もないので、気楽に撮影を楽しめる。ほとんど電気代しかかからないデジカメと比較すれば、70円といえども論外かもしれないが、この世に一枚しかない写真を、その場で手にすることができるというインスタント写真の楽しさは、しっかりと体験できる。これは、実にかけがえのないことだと思うのだが。
ISO 1600 で撮影。ファインダーの視差が出て、コーンの上端が切れてしまった。近接撮影の時には、特に要注意だ。因みに、この専用ビューファインダーの視野は、あまり当てにならない。見えている範囲よりもかなり外側まで写るようである。
薄暗く狭い路地に日が射しているのを ISO 200 の設定で撮影。多重露出機能を用い、撮影位置を変えて二回シャッターを切っている。なんとなく夢の中のような描写となった。
なお、今回の露出補正は、あくまで私自身のLC-A+での撮影結果に基づくものだ。前述の通り、日本製品と異なり、品質のバラつきが大きい海外製品なので、カメラ側のAEの設定も個体ごとに異なる可能性があることをお断りしておく。
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