前回、投稿したCAM-PCの「amoeba」ルールだが、ランダムスープからの状態遷移を何度も試行錯誤していると、色々と面白いセル配置を発見することができる。今回は、それらを組み合わせたものを紹介したい。移動型セル配置の中に、昆虫を思わせるものが多いので、「creatures」と名付けた。
この配置では、左右両端に様々な振動物体が見られるが、中でも目を引くのが左右中段にある大型の「パルサー」だろう。lifegameでも一定の周期で爆発・収縮を繰り返すパルサーと呼ばれるセル配置があるが、規模的には、こちらの方が遙かに大きい。同様のものは、左端上部と右端下部に見られるが、これは、小規模のものだ。それら以外にも矩形をしたものや、渦巻き状のものが見られる。これらのパルサーは、周期が微妙に異なり、小型のものほど短周期で爆発・収縮を繰り返す。
また、中央には、二種類の移動物体と静止物体との相互作用の例が配置されている。移動物体にも様々な種類があるが、ここでは、「小型高速艇」と「小型中速艇」の二種類が「井桁」と名付けた静止物体の上に並んでいる。これらの動きを見ると、高速艇が中速艇に追突した後、下向きに進む中速艇が出現し、これが井桁と衝突することにより、高速艇を生成し、再度進行方向を変更して先行する中速艇を追いかける。高速艇は中速艇の二倍の早さで進むので、やがて先行する中速艇二艘の後ろのものに追突し、またもや下向きの中速艇としてスイッチバックする。
この結果、それぞれ上下方向に進む中速艇が、一組の井桁に向かって進行するが、上向きの中速艇の方が一瞬早く井桁と干渉し、下向きの高速艇となり下向きに進む中速艇を追尾する。やがて、高速艇が中速艇に追突し、上向きの中速艇が残る。
高速艇と中速艇には面白い性質があり、中央左寄りには、上部の「ブロック」の列と下部の「井桁」の列にはさまれた高速艇が配置されている。上方向でブロックに衝突した高速艇は、下向きの中速艇に変身し、井桁列と衝突すると上向きの高速艇に再度変身する。変身を繰り返すごとにブロックと井桁が一列分ずつ消費されるので、最終的には、上下の往復移動から解放された一機の高速艇が残る。
中央右寄りには、二個のブロック列に上下を挟まれた中速艇が配置されている。これも同様に、ブロック列に衝突するたびに方向を変えて上下の往復運動を繰り返す。ただし、中速艇の進行方向が変わるだけで、別のタイプの移動物体に変身する訳ではない。こちらも、長い時間をかけて、ブロック列を消費し、最後は、上向きにフリーランをする中速艇が残る。
これらのセル配置の両脇には、大型高速艇が左右に二種類フリーランをしている。なにやら古のインベーダーゲームを思わせるような形状なのが面白い。
その外側の列には、低速艇が見られるが、こちらは、形状が極めて曖昧である。他の振動・移動物体が、ほとんど左右対称形をしているのに対して、こちらは、形状面での規則性が見られない。だが、そのためにかえってミジンコが泳いでいるかのような有機的な印象を受ける。amoebaというルールの名称には、むしろこのような形の方が相応しいかもしれない。
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