フランスのチームである「MOPS」の処女作「DENTRO」。技術的には、見るべきものはないが、ロードするのに、延々と黒い背景に白文字のシェルウィンドウが表示されるところを見ると、フロッピー上の圧縮ファイルを読み込んで展開するのに時間を要しているようだ。
とは言え、内容は、やや奇怪である。水の面が揺らいでいるような映像の背後に、中世ヨーロッパの黒ミサの呪文を思わせるようなBGMとヴォーカルが入る。こういうのを見ていると、ヨーロッパ文化圏に通底している歴史の暗いうねりが感じられるようだ。
AMIGAを製造したCOMMODORE社は、アメリカの企業だが、Megademoと言うサブカルチャーを育んだのは、ヨーロッパ諸国の若者達であった。現に、ほとんどの作品がNTSCではなくPALを前提としていることを見てもそれは明らかである。
これは私見だが、これらのMegademoが興隆期を迎えた当時、ヨーロッパは不況で、不安定な雇用状況にある若者が多かったのではないか。しかし、失業保険等の社会保障は現在よりもはるかに充実していた。そこに、AMIGAという安価で、モニタもテレビで代用できる安価な端末がアメリカから供給されるようになった。パソコン黎明期ということもあり、ヨーロッパの若者にとっては、恰好の暇つぶしであり、創造力のはけ口だったのかもしれない。
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