TETRIS:数理と直感

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雨の一日だった。肌寒いので軽く暖房を入れた部屋で、テトリスで遊ぶ。プラットフォームマシンはNINTENDO DSだ。ただし、ゲームカートリッジは、DS専用ではなくゲームボーイアドバンス用のものだ。DS専用のものも手元にあるが、BGMが気に入らない。アドバンス用のBGMの、ちょっとミニマルテクノ風なのが好きだからだ。

元々、ポータブルゲームマシンには興味がなかったのだが、例の「大人の脳トレ」ブームでDSを衝動買いしてしまった。しかし、単純計算を延々と繰り返したり、画面に表示される単語の記憶数を競ったりして、「脳年齢」なるものの若返りを図るというこのソフトの馬鹿馬鹿しさに気付いて、やる気が失せてしまった。

最近のゲームソフトは、CGを駆使した高精細かつ高速なものが多いようだが、正直言って、どこが面白いのか良く判らない。やはりゲームのルールは単純なのが一番だ。そんな意味でテトリスは、1980年代後半の日本初登場以来、私のお気に入りのゲームなのである。平面を予め決められた数種類のブロックで充填するという極めてミニマルなルールのゲームで、当時のソヴィエトで開発された時には教育目的だったそうだ。

前述のアドバンス用のカードリッジは、近所のDVDショップで中古品を安価で手に入れたものだ。前の持ち主がプレイした記録が残っており、購入時のHIGH SCOREは、35万少々であった。DSでプレイし始めた時には、この数字にはとても到達できなかった。そもそも、十万オーダーにはとても及ばないという情けない力量だった。しかし途中から、面白いことに気付いた。それは、ゲームの初期設定で、レベルを「最高」に、そして難易度を「Very Hard」に設定した方が、結果として高得点となるという一見矛盾した事実である。

考えてみれば、ハイリスク・ハイリターンということなのだろうが、この設定でプレイし始めてから得点は軽く数十万ポイントに跳ね上がった。そして、つい先日、855ライン、562万ポイントという当初では考えられなかったような結果を得ることができた。これが、どの程度のものなのかについては、判らないが、少なくとも、前の持ち主より一桁上であることは確かだ。

調子が良かったこともあるが、300ラインをクリアするあたりから、私がテトリスをプレイしているのか、テトリスが私にゲームを行わせているのか判らないような状態になる。ゲームのルールは、極めて幾何学的かつ数理的なのだが、プレイしている本人の頭は、そんなことは考えていないようだ。ほとんど脊髄反射的にマシンを操作しており、自分で止めようと意識しない限り、いつまでもプレイし続けることができるような状態となるのだ。こういうのをトランス状態と言うのかもしれない。


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