最寄りのJRの駅に、ずっと前から設置されている不思議な表示装置。数年前に駅の改修工事が行われて、電車の発車時刻等がLEDパネルで表示されるようになったにもかかわらず、未だに撤去されずに残っている。
今日あらためて、この装置の背面に貼られているプレートを見ると、「列車接近表示器」と書かれている。メーカーは「交通システム株式会社」とのこと。私は鉄道マニアではないので、詳しいことはわからないが、察するにホームに駅員が立って電車発着時の安全確認をしていた時代の名残なのだろう。
リニューアル工事が行われてからは、朝のラッシュ時でも、ホームに駅員の姿を見かけることはない。昔の駅員の詰め所も今ではもぬけの殻である。それにもかかわらず、この装置だけは、今でも電車が接近すると点滅を繰り返し、「キンコン」という音を出す。なにかとてもレトロな雰囲気である。表示内容も、ホームの両側それぞれに対応して「上」と「下」の二種類でこれまたミニマルだ。
隣の駅では、駅舎の改修が行われた時に駅員の詰め所とともに、この装置も撤去されてしまった。そういう意味では、今となっては珍しい代物なのかもしれない。もはや不要となったものを撤去しないという不作為により本来の機能を失いながら動作し続けるこの装置も、一種の「トマソン」と言うことができるのではないか。
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