シュルレアリストの今となっては「古典的」言葉遊びみたいなタイトルだが、何のことはない代々木にあるDoCoMoのビルである。
このビルのデザインが、最上部が電波塔になっていることも含めてマンハッタンのエンパイア・ステート・ビルディングのそれを剽窃したものであることはさておき、どうしてこんな映像を撮影したのかと言うと、まず第一に電車を待っている時間が手持ち無沙汰だったからだ。
次に、(むしろこちらの方が先なのかもしれないが)私がDoCoMoの携帯を使っているからである。などと言うと、訳が判らないことのように思われるかもしれないが、普通は不可視かつ不可知な無線ネットワークが、この時に限り(ほぼ)確実に、空中に敷設された仮想的な通信ケーブルとして認知されたからだ。
ほとんどの場合、携帯電話と無線基地局との間の通信ルートは、利用者には不可視であり不可知だ。確かに道を歩いていると、沿道のマンションのペントハウスなどに基地局のアンテナらしきものが設置されているのを見かける。だが、キャリアはDoCoMoだけではない。auやSoftBankやWILLCOMもそれぞれ独自の無線ネットワークを構築しているのだ。従って、利用者が自分の携帯が送受信する電波のルートを確実に知ることはあり得ないし、そもそも無線とはそういうものだ。
しかし、このビデオクリップを投稿した時、目の前に聳えたつDoCoMoのビルに設置された基地局アンテナに向けて、たかだか300KBとは言え(MTmailの投稿最大容量は300KB以下に制限されている)映像データのパケットが送信されたということは、(ほぼ)確実と言えるだろう。
基地局アンテナの設置されたビルの映像を撮影し、まさにその基地局に向けて、その映像のデータを送信するという行為が、何だか面白く思われた。それは、通常不可視かつ不可知であるはずの無線ネットワークの末端が、仮想的とは言え具体的認知の対象として立ち現れたからかもしれない。
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